寒い時期のダイビングに挑戦したい初心者ダイバーにとって、「どのスーツを選べばいいのか?」というのは最初にぶつかる大きな壁です。特にドライスーツは、ウェットスーツやセミドライスーツとは構造や使用感が大きく異なり、知識と経験が必要です。本記事では、ウェット・セミドライ・ドライの3種類のスーツの違いと、初心者がドライスーツを使い始める際に知っておくべき実践的ポイントを詳しく解説します。
目次
1. ウェットスーツとは?
ウェットスーツは最もポピュラーなダイビングスーツで、スーツ内に入ってきた海水を体温で温め、それを保温層として活用します。水温22℃以上の温暖な海域で使用されることが多く、初心者にも扱いやすいです。
主な特徴
- 素材:ネオプレン(厚みは3mm〜5mmが主流)
- スーツタイプ:フルスーツ、ショーティー(半袖・半ズボン)
- 保温方法:体温で温めた海水による保温
実用ポイント
- 気温・水温が高い季節向け(夏〜初秋)
- 初心者向け講習や体験ダイビングでもよく使われる
- 価格が安く、レンタルしやすい
2. セミドライスーツとは?
セミドライスーツは、ウェットスーツとドライスーツの中間に位置するスーツです。見た目や構造はウェットに似ていますが、開口部の密閉性が高く、水の侵入を最小限に抑えます。
主な特徴
- 素材:厚手のネオプレン(5〜7mm)
- 開口部:手首・足首・首にタイトなシールあり
- 保温方法:わずかに入った水を閉じ込めて保温
実用ポイント
- 15〜22℃程度の水温で快適
- インナー不要でもある程度の保温力あり
- ドライより簡単で、ウェットより暖かい
3. ドライスーツとは?
ドライスーツは完全防水構造で、体が一切濡れないスーツです。スーツの中にインナーを着込み、スーツ内に空気を取り込むことで保温と浮力の調整を行います。寒冷地や冬季の海で使用されるプロ仕様のスーツでもあります。
主な特徴
- 素材:シェルタイプ(硬め・耐久性高) or ネオプレーンタイプ(伸縮性・保温性あり)
- 開口部:首と手首にラテックスまたはネオプレーンのシール
- 空気操作:インフレーターで空気を入れ、排気バルブで調整
実用ポイント
- 5〜18℃の水温でも快適に潜れる
- インナー選びが重要(フリース素材や中綿タイプが一般的)
- 水面での移動や休憩中も体が冷えにくい
4. ドライスーツの使い方と注意点
着用方法のコツ
- 首・手首のシール部分にはタルクやシリコンスプレーを使用するとスムーズ
- インナーは汗を吸収する素材を選ぶ(綿はNG)
- チャックはしっかり閉めて、水漏れを防ぐ
浮力調整の基本
- 潜降時:インフレーターで空気を適量追加し、圧迫を防ぐ
- 浮上時:排気バルブから空気を抜きながら浮上
- BCDとの併用が重要。両方に空気が入っていると操作が難しくなる
注意点
- 空気が足に溜まると足から浮き上がる危険あり(逆立ち浮上)
- 排気バルブの位置や感度の調整を事前に確認
- 水没チェックを定期的に行い、シールの劣化に注意
5. 初心者が選ぶ際のチェックポイント
- サイズ: フィット感が最重要。特に首と手首の密閉性
- 素材: シェルは耐久性重視、ネオプレーンは保温性重視
- 講習: ドライスーツ特有の操作を学ぶため、専用講習の受講が推奨
- レンタル: 最初はレンタルで複数タイプを試すのがおすすめ
6. スーツの違いまとめ
スーツ種類 | 適水温 | 構造 | 保温性 | 特徴 |
---|---|---|---|---|
ウェットスーツ | 22℃〜 | 水が入る | 低〜中 | 軽く動きやすい。安価 |
セミドライ | 15〜22℃ | 水が少量入る | 中 | ウェットより暖かいが完全防水ではない |
ドライスーツ | 5〜18℃ | 完全防水 | 高 | 濡れずに暖かく、寒冷地や冬季向き |
スーツ選びはダイビングの快適さと安全性に直結します。ドライスーツは使い方こそ少し複雑ですが、低水温でも快適に潜れる強力な味方。講習やレンタルを活用して、自分に合ったスタイルを見つけてください。安全で楽しいダイビングを!